ガチョウさんの感想
『自己紹介』
私は55歳になります。惰眠をむさぼり、無駄に歳を取ってしまった中年男です。
目は生まれつきの緑内障で、手術の失敗で11歳で失明。0コンマ5だった視力が、術後間もなくゼロになってしまいました。
職業は、ハリ指圧治療。この道35年。自宅で開業しています。
「ガチョウ」という芸名で、オカリナ奏者としてコンサート活動をしています。
オカリナとはイタリア語。正しくはオカリーナと発音します。
オカリーナの「オカ」は「ガチョウ」という意味で、「リーナ」には「かわいい」とか「小さい」という意味があります。
私はかわいくも小さくもないので、オカリーナからリーナを省き、ガチョウという芸名にしました。
『コーチングにより身についたこと』
親子程も年齢さのある深谷コーチのコーチングを受け、「謙虚さ」と「素直さ」と「自問自答の業」が身につきました。
職掌柄、患者さんからは「先生」と呼ばれ、人を指導することの多い年月を送ってきました。
また、小中学校で障害をテーマにした講演を行なっている関係から、人に意見することの多い年月も送ってきました。
このような生活の中では、自分の心の内面に対して質問を浴びせてくる人は皆無と言ってもいい程でした。
ところが、コーチングでは質問を向けられる連続でした。
こちらの数分に及ぶ話にも、1分足らずの話にも、話が一段落する度に、コーチから質問が飛んできました。
コーチングとカウンセリングの違いも、コーチングと人生相談の違いもわからなかった自分には、優しく語りかけてくださっている深谷コーチの質問なのに、それが連続的に押し寄せてくる攻撃のように思えてきて途惑いました。
家人や親しい友から、コーチングのときのような連続的な質問を受けたなら、「うるさい!しつこい!くどい!」と言い返していたことでしょう。
2回のサンプルセッションが終ったころ、何となくコーチングというものがわかってきたような気がしました。
コーチングとは、「コーチがクライアントに質問を向け、クライアントがそれに応え
いく中で本当の自分を知る。
本当の自分を知ったところから、コーチからの質問に導かれながら今抱えている悩みや苦しみに対する解決の糸口を自ら探し出したり、今後の進路を自ら探し当てるもの」と言う結論に達しました。
コーチングとカウンセリングは似ている。が、その違いは「心が健康な人に対して行なうのがコーチングであり、心が病的な状態の人に対して行なうのがカウンセリングであるのだろう」と言う結論にも達しました。
コーチングと人生相談も似ている。が、「コーチングでは、いかなる場合でも、コーチがクライアントを批判したり、クライアントの進むべき方向を定めることはしない。
人生相談ではしばしば、解答者が相談者を否定したり、進むべき道を指図する」と
言う結論にも達しました。
上記は、コーチングをほとんど理解できていない私の結論であって、コーチングの専門教育を受けられている諸先輩方からは、「ガチョウ、ガチョウ、それは違うぞ」と顰蹙を買う内容かもしれません。的はずれなことを書いていましたらお許しください。
10回にわたる本セッションに入る前に、私は「これからのセッションを有効なものにするためには、謙虚さと素直さが必須」であることを強く感じていました。
そして、親子程も歳の離れている深谷コーチですが、「コーチングを受けるときには無駄に重ねてしまった年齢も、中と半端な人生経験も、一人よがりのプライドもかなぐり捨てて、謙虚さと素直さを忘れないぞ」と心に誓いコーチングに臨むことにしました。
10回にわたる本セッションの中で、私は「僕は素直に話をしています。素直過ぎる自分が恥かしいです」と、何度も深谷コーチに言いました。
そして、10回の本セッションが終了したときには、とことん謙虚で素直に振る舞える自分を恥かしいとは思わなくなっていました。
謙虚さと素直さを持って生きているということは、「こんなにも楽で、自分の言動に矛盾がなくなり、弁解の数が激減するものなんだ」と実感できるようになりました。
また、12回のコーチングを終えたときには、コーチングを受けているかのような「自問自答」ができるようになりました。
たとえば「無性に腹が立った」とき、自分の心の中にコーチが現われ、「腹の立つ原因はどこにあると思いますか?」と聞いてくる。
心の中で、「思い通りにならないからです」と、クライアントの自分が応じる。
「思い通りにならない原因はどこにあると思いますか?」とコーチが尋ねてくる。
「目が見えていれば簡単にできることなのに、視力がないためにできない。そんな自分が情けなくて、腹が立つのです」
「そんな自分に腹が立つのですね。では、目が見えていて、いろいろなことが思い通りにできたとしたら、どんな気持ちになれますか?」
「思い通りにに行動ができたなら、それは気分爽快です」
「気分爽快になれるのですね。では、視力がなくても気分爽快になれる方法を探してみませんか?どうしたら気分爽快になれると思いますか?」
「目が見えないことが理由で努力をしてもできないことは、強がりを捨てて目の見える人の力を借りれば、気分爽快になれると思います」
「強がりが原因で腹を立てていたのですね。強がりを捨てて人の力を借りれば、気分爽快になれることに気づきましたね」と、心の中のコーチが締め括ってくれる。
コーチングを受ける前にも、自問自答はしていました。しかし、それは浅い自問自答であって、結論に達するまでの深い自問自答はできてはいなかったのです。
コーチングを経験したことにより、自画自賛ではありますが、深く自問自答ができる人間になりました。
『コーチングにより実現したオカリナコンサート』
コーチングを受け始めたとき、私には自分で主催する「ガチョウのオカリナコンサート」の予定はありませんでした。
依頼を受けて行なうコンサートやボランティアとして行なうコンサートの予定は入っていました。が、それらは自分で主催する積極的なコンサートと比較すると消極的なコンサートで、私が1番に求めるコンサートではありませんでした。
深谷コーチに、こんな内容のことを言ったのを覚えています。
「自分で主催するコンサートを行ないたいのですが、その一歩を踏み出せずにいます。一歩を踏み出すエネルギーがないのです」
これに対して、深谷コーチがおっしゃいました。
「これまでとは違う形のコンサートを見つけられたなら、コンサートをしたいというエネルギーが湧いてくるのではありませんか?」
「私は、これまで、オカリナとギター。オカリナとピアノ。オカリナとピアノとヴァイオリン。オカリナとニコと馬頭琴とエレクトーンなどとコラボを組んでコンサートをしてきました。
もう、いろいろな形でのコンサートをし尽くしてしまい、新しい形のコンサートは思い当らないのです」と応じました。
でも、私の耳の奥には、深谷コーチの「これまでとは違う形のコンサートを見つけられたなら、コンサートをしたいというエネルギーが湧いてくるのではありませんか?
」と言う親身な声が残っていました。
それから間もなく、骨折で入院していた友人が退院して、その快気祝をすることになりました。
快気祝の会場に選んだのは、「ゆっくりと食事をしながらお酒が飲めて、ジャズの生演奏も楽しめる、客席数100ほどのレストラン」でした。
アルコールをこよなく愛している私の心は、飲んで食べて生演奏をきいて、更に飲んで飲んで飲んで飲んでいるうちに、すっかりハイになってしまいました。
初対面の人とは口もきけない小心者の私なのですが、アルコールの力で大胆になっていたのでしょう。
私は、レストランで演奏していたジャズピアニストに、「僕はオカリナでコンサート活動をしているのですが、よろしければコラボを組んでいただけませんか?」と身のほど知らずのことを言い、名刺を差し出してしまいました。
このとき、私の耳の奥には、深谷コーチの「これまでとは違う形のコンサートを見つけられたなら、コンサートをしたいというエネルギーが湧いてくるのではありませんか?」と言う声が、はっきりと聞こえていたのです。
アルコールの酔いだけでは、ジャズピアニストに名刺を差し出すことはできなかったはずです。
深谷コーチの声が背中を押してくださっていたからこそ、名刺を差し出す勇気が出たのです。
「これまでとは違う形のコンサートを…。これまでとは違う形のコンサートを…。
これまでとは違う形のコンサートを…。これまでとは違う形のコンサートを…」
深谷コーチの声が、頭の中でアルコールの流れに乗って、勢い良くグルグルと回っていました。
「そうだ!まだジャズミュージシャンとはコラボを組んだことがなかった!」
このことに気づいた私は、無性にジャズピアニストと演奏してみたいという気持ちになったのでした。
明朝目覚めた私は、「昨夜はすっかり酔っ払ってしまい、大胆になっていたな。ピアニストに名刺を渡してしまったけれど、プロのジャズピアニストとコラボをくめるような実力は僕にはないのに。
酒の席のことだから、まっ、いいか。もとより、プロノジャズピアニストが無名のオカリナ吹きのガチョウを相手にはしてくれないだろうから」と思ったりしていました。
ところが、レストランでピアニストに名刺を手渡した二日後に、ピアニストからメールが入ったのです。
「ぜひ、コラボをさせていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします」
と言う内容でした。
コーチングの時間に、深谷コーチに「コーチングを受けたおかげで、コンサートを行なう運びとなりました」と報告できたときの喜びは、今でも忘れることができません。
ピアニストとは頻繁にメールの遣り取りをして、着々とコンサートに向けての計画を立て、ピアニストと出会った3ヶ月後に、「ガチョウのオカリナコンサート」が実現したのでした。
自分にとっては不満足なところのあるコンサートでしたが、聴衆からの評価は良く、「これまでのコンサートで、1番良かった」と言う声を多数寄せていただけました。
8月1日に「ガチョウのオカリナコンサート」を行なえたのは、深谷コーチのコーチングのおかげで、心より感謝をしています。ありがとうございました。